犬や猫を家に迎える
はじめて犬や猫を飼う前に。迷う日の決め方と、迎えて最初の数週間の過ごし方
- 著者
- 大石 千夏
- シリーズ
- はじめての犬猫 シリーズ 第1巻
- 分野
- 犬猫との暮らし
- 形態
- 電子書籍(Kindle)/紙書籍
- 出版社
- 文灯社
犬か猫を飼いたい。その気持ちが、もう何年も消えない。なのに調べはじめると、お金のことも、留守のことも、しつけのことも、書いてあることが多すぎて、三十分後には画面を閉じている。そして半年後に、また同じことをしている——そんなあなたのための本です。
この本は、しつけの手順書ではありません。病気やけがのことも書きません(それは動物病院の役目です)。食べていいものの一覧も、犬種や猫種ごとの性格の表も作りません。生きものを、表で言い切れるとは思っていないからです。そして、「飼ってからでは遅い」と、あなたを急かすこともしません。
渡すものは、二つだけです。相手の側から見ること。あわてずに待つこと。十二の章はどれも、この二つを別の場面に置き換えているだけだと思ってください。
「飼いたい」の下にある理由を、一度だけ言葉にする。迎えるとは、相手だけが降りられない約束を引き受けることだと知る。犬か猫かを、好みではなく暮らしの噛み合わせで見る。あなたの一日と住まいに、その子の一日が入るかを点検する。迎え先を見分ける物差しを持つ。準備は買い物ではなく、床の高さで部屋を見わたして、隠れられる場所をひとつ作ること。迎えた日にすることは、かまうことではなく、静かにしていること。慣れる速さは相手の時計で決まると知って、待つ。決めつけずに、ただ見る。家じゅうで言うことをそろえる。叱って減らすより、いいことを起こして増やす。
読み終えて、「やっぱり、今は飼わない」という結論になってもかまいません。この本が目指しているのは、あなたが自分で決められる状態になることであって、「飼う」に着地させることではないからです。むしろ、そう決められる人のほうが信用できる、とわたしは思っています。
なつかない時間は、失敗の時間ではありません。信用が作られている時間です。読み終えるころ、あなたは動物にくわしい人になったわけではなく、相手の側から見て、あわてずに待てる人になっています。完璧な飼い主にならなくていい——そう思えたなら、もう始まっています。