書くことがない人の三行日記
一日のおわりに、何を書くかは決めてある。書くことが思いつかない人のための、いちばん軽い日記の書き方
- 著者
- 神谷 悠
- シリーズ
- 書いて、軽くする シリーズ 第1巻
- 分野
- 手帳・書いて整える
- 形態
- 電子書籍(Kindle)/紙書籍
- 出版社
- 文灯社
新しい一冊を買った日は、少しうれしい。一日目は書いた。二日目も書いた。そして三ページ目で、止まる。日付が飛んだページを見るのが気まずくなって、そのうち開かなくなる——引き出しの奥に、そういう一冊が何冊かある人のための本です。
続かなかったのは、根気の問題ではありません。三ページ目で止まった夜、あなたはたぶん「今日、書くようなことは何もなかった」と思ったはずです。書きたくなかったのではなく、何を書けばいいのかが決まっていなかっただけです。
だからこの本は、書き方を教えません。文章がうまくなる本でも、心を分析する本でもありません。どの手帳がいいとも、紙がいいとも画面がいいとも言いません。そして、書けば必ず気持ちが軽くなる、とも約束しません。書いたら晴れる夜もあれば、何も変わらない夜もあるからです。
決めておくのは、三つだけです。何を書くか。いつ、どこで書くか。書かない日をどうするか。やることは、一日のおわりに三行。一行目に、あったこと。二行目に、そのときのきもち。三行目に、明日の自分へのひとこと。中身が先に決まっているので、毎晩「今日は何を書こう」と考える必要がありません。
十二の章で扱うのは、書けなくなる場所そのものです。書く値打ちの物差しを下ろす。手帳の向きを「これから」から「もう起きたこと」へ変える(今日はもう終わっているので、材料は必ずあります)。読む人は自分ひとりだと決めて、文にしない。長さを先に決める。事実の一行、きもちの一行、あしたの一行。三行に収まらない引っかかりは、答えを出さずに置いておく。材料は昼のうちに拾う。書く時刻と場所は一度だけ決める。書かない日は空けたままにして、さかのぼって埋めない。そして、たまに読み返す。
読み終えても、あなたは「書くことがある人」にはなっていません。書くことを探さなくてよくなっているだけです。白紙のページは、もうこわくない。今夜、一行から始められます。