一枚も消さない写真整理
スマホの写真が数万枚あっても見たい一枚がすぐ出てくる残し方
- 著者
- 相沢 涼太
- シリーズ
- デジタルを、片づける シリーズ 第1巻
- 分野
- デジタル整理(スマホ・写真・パスワード)
- 形態
- 電子書籍(Kindle)/紙書籍
- 出版社
- 文灯社
「ちょっと待ってくださいね、いま出しますから」。そう言いながら、指で画面を上へ、上へと送っています。十秒。二十秒。似たような写真が次から次へと流れ、相手の顔から、少しずつ笑みが薄れていく。結局「あとで送りますね」と言って画面を閉じ、そのまま送りませんでした。この本は、その一分間のための本です。
あの写真は、消えたわけではありません。ちゃんと手のひらの中に残っています。出てこないだけです。そして、それはあなたがだらしないからでもありません。撮る手間も、撮るお金も、ほとんどゼロになりました。そのかわり「選ぶ」という仕事だけが、そっくりそのままあなたの手元に残されたのです。
だから、この本は最初から最後まで、一度も「消してください」と言いません。ここに出てくるやり方は全部、一枚も消さないまま成り立ちます。写真の整理について調べると、たいていの案内は「まず要らないものを消しましょう」から始まります。その一行で手が止まった経験が、あなたにもあるはずです。手が止まる場所を出発点にしていたら、そこから先へは進めません。
画面の操作も書きません。どの道具を使いなさい、この画面のここを押しなさい、という話は一度も出てきません。画面の絵は毎年のように変わりますが、決め方のほうは変わらないからです。ですから、機械にくわしくない自覚のある方でも、覚える操作はひとつもありません。買い替えも、有料の何かも、この本では勧めません。
やることは、順番に並んでいます。合格ラインを「減らした枚数」から「もう一度見たか」へ置き直す。写真の山に線を一本だけ引いて、用の済んだ画面の写しやメモを外へ出す。いつ・誰と・どこで、という三つの手がかりを足す。その日を代表する一枚に印をつける。そして、見返す場をつくり、消えて困るものには写しを持ち、月に一度の短い見回りで保つところまで。
読み終えるころ、あなたはあの一枚を、たぶん十秒くらいで開けるようになっています。数万枚は、一枚も減らないままで。目指すのは、きれいなアルバムではありません。もう一度、その写真を見る日です。