『ひとりで決めない親の介護』(桑田 郁子・著)表紙
親の介護

ひとりで決めない親の介護

親の様子が変わってきたときに、家族と頼れる先を見つけておく

著者
桑田 郁子
シリーズ
介護のはじまり シリーズ 第1巻
分野
親の介護
形態
電子書籍(Kindle)/紙書籍
出版社
文灯社

久しぶりに帰った実家で冷蔵庫を開けたら、同じ牛乳が三本、並んで立っていました。同じ話を二度された。郵便受けに、開けていない封筒がたまっている。気にはなるけれど、本人は「大丈夫」と言うし、これを介護と呼ぶのは大げさな気もする。この本は、そういう日に読む本です。

先に、この本がしないことを書いておきます。手続きを教えません。何をどこに申し込むのか、どんな書類が要るのかは、一行も書いていません。呼び名も仕組みも、住んでいる地域とその時々で違うからです。急がせません。「今のうちに動かないと手遅れです」とも書きません。親孝行も説きません。そして、親を採点する項目の並びも出てきません。

かわりに渡すのは、構えがひとつだけです。ひとりで決めない。それは投げ出すことでも、先延ばしにすることでもありません。決める前に、いっしょに考えてくれる人をひとりでも増やしておく、という意味です。この構えは、まだ何も起きていない今日から使えますし、もし急に何かが始まってしまっても、そのまま使えます。

前半で扱うのは、気づくことです。何を見て、何を一行だけ書き留め、親の「大丈夫」をどう受け取るか。まん中で扱うのは、つながることです。相談の入口、段階を踏まずに始まってしまった日、きょうだいの温度差、お金の話の切り出し方、他人の手を家に入れること。後半で扱うのは、続けることです。話が通じない日、仕事とのあいだ、自分の中に出てくるよくない気持ち、そして長い道の歩幅の決め方。

各章の終わりには「今日の、五分でできること」を一つだけ置きました。どれも五分で終わりますし、どれもやらなくてかまいません。読んだだけの日があっても、この本は何も言いません。もう動きはじめてしまった人のための章も、まん中に用意してあります。

読み終えたとき、あなたが何かを決められるようになっている必要はありません。あの日の引っかかりを、ひとりで持ち歩かなくてよくなっていれば、それでじゅうぶんです。まだ、何も決めなくていいのです。わからないまま、聞きにいって、いいのです。

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